2019年、改正労働施策総合推進法=通称、パワハラ防止法・ハラスメント防止法の施行により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
今回はそんなパワハラ防止法の概要や企業の責任について解説いたします。
パワーハラスメント防止法とは?
パワーハラスメント防止法は、2019年に施行された日本の法律で、職場や学校、性別、年齢、人種、障がいの有無などに基づくハラスメントを防止することを目的としています。
この法律では、以下のような行為をハラスメントとして定義しています。
- 嫌がらせ、暴力、脅迫、差別的発言、無視などの言動による精神的苦痛の与えること
- 性的な言動や行動による性的な苦痛の与えること
この法律に基づき、企業や学校、官公庁などの団体は、ハラスメントを防止するために、以下のような対策を実施することが求められています。
- ハラスメントに関するルールやガイドラインの策定と公表
- ハラスメントを受けた場合に相談できる窓口の設置
- ハラスメントを行った場合に対する制裁措置の明確化
このように、ハラスメント防止法は、職場や学校などの場で起こるハラスメントを根本的に解決するために制定された法律です。
職場におけるハラスメント防止のために厚生労働省ホームページよりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
ハラスメントで会社が訴えられることはある?
はい、従業員がハラスメント被害を受けた場合、会社を訴えることができます。ハラスメント防止法に基づいて、職場でのハラスメント行為が禁止されているため、ハラスメント被害を受けた場合には、企業は適切な対応を行うことが求められます。
ハラスメント被害を受けた場合は、まずは企業のハラスメント防止対策に従い、社内の相談窓口や担当者に相談することが重要です。もし、会社側が十分な対応を行ってくれない場合や、解決が困難な場合は、弁護士などの専門家の助言を受けて、民事訴訟や労働裁判所での訴訟など、適切な法的手段を検討することもできます。
ただし、会社に対する訴訟は、時間や費用がかかるため、専門家のアドバイスを受けた上で、慎重に判断する必要があります。
賠償金や慰謝料はいくらぐらい払うのか?
ハラスメント被害を受けた場合の賠償金や慰謝料は、具体的な被害状況や法的な評価などによって異なります。また、裁判所の判断によっても異なるため、一概に金額を言うことはできません。
ただし、一般的には、以下のような要素が考慮されて、賠償金や慰謝料が決定されます。
- 被害の程度(精神的な苦痛や身体的な損傷など)
- 加害者の行為の悪質さ(ハラスメントの種類や回数など)
- 被害者の生活や経済状況など
裁判例によると、一般的には、数百万円から数千万円の範囲での賠償金が認められることがあります。ただし、具体的な金額は、裁判所の判断や和解によって異なるため、被害者側は弁護士などの専門家に相談し、具体的な評価やアドバイスを受けることが重要です。
ハラスメントで会社が訴えられた時に対応できる保険はある?
ハラスメントで会社が訴えられた場合に、対応できる保険としては、以下のようなものがあります。
- 経営者や幹部が行う法的手続きや、訴訟費用の負担などをカバーする保険。ハラスメント被害者からの訴訟などに対して、弁護士費用や賠償金などの支払いを補償することができます。
- 雇用に関する紛争や訴訟に対して補償する保険です。ハラスメントによる労災事故や労働紛争などに対して、労働基準監督署や労働者との調停などの手続きを行うことができます。
- 従業員が業務中に第三者に対して損害を与えた場合に、その賠償責任を補償する保険もあります。ハラスメントによって第三者が損害を受けた場合にも、その賠償責任を補償することができます。
ただし、保険の内容や適用範囲は保険会社や契約内容によって異なるため、保険加入前に保険の詳細を確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。また、保険に加入することで、ハラスメント対策を怠ることはできず、予防策の徹底が求められます。
ピンバック: 事業の経営者がかける保険ってどんなものがある? - 株式会社木下保険パートナーズ