従業員同士の自動車事故は任意保険の対象外!?カバーできる保険や特約も。

12日午後3時半ごろ、兵庫県姫路市白浜町の金属加工工場で、パート従業員の男性(64)が、フォークリフトにはねられ下敷きになった。男性は骨盤を折る重傷。

 県警飾磨署によると、男性従業員(55)がフォークリフトを運転し、バックさせていた。「ミラーで後方を確認したが、人がいるのに気付かなかった」と話しているという。

神戸新聞NEXT

フォークリフトではねられ下敷きに 姫路市の工場、男性が重傷|事件・事故|神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp)

2024年1月、姫路市で何とも痛ましい事故がありました。

お怪我をされた方の一刻も早いご回復をお祈りいたします。

今回は、交通事故の同僚間災害についてお話ししたいと思います。

同僚間災害とは、仕事中に同僚の運転する車に乗っていたり、会社の敷地内で車にぶつかったりした場合のことです。このような場合、被害者は労災保険や自賠責保険の給付を受けることができますが、原則任意保険の対人賠償は使えません。なぜなのでしょうか?そして、どうすればリスクを最小限に抑えることができるのでしょうか?この記事では、同僚間災害の定義と免責事由の内容、そして任意保険が使えない場合の対応方法について解説します。

同僚間災害の定義と免責事由の内容

同僚間災害とは、仕事中に同僚同士の間で交通事故が発生することです。たとえば、同僚の運転する車に同乗していた際に同僚の過失によりガードレールに接触したとか、会社の敷地内を車で進行していたところ、不注意で他の従業員に接触したというような事例が考えられます。

このような事故は、一見すると普通の交通事故と同じように扱われそうですが、実はそうではありません。

なぜなら、任意保険には免責事由というものがあり、被害者が「被保険者の使用者の業務に従事中の他の使用人」に該当する場合は、保険金が支払われないからです。

任意保険とは、自分の車や自分の身体に加入する保険のことで、対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険、人身傷害補償保険などさまざまな保険があります。

これらの保険は、自分や他人の損害を補償するために非常に重要なものですが、それぞれに免責事由を定めた規定があります。免責事由とは、保険会社が保険金を支払わないという条件のことで、保険契約の際に必ず確認する必要があります

対人賠償保険に特有の免責事由の例として、被害者が次のいずれかに該当する場合があげられます。

  • 記名被保険者(保険証券に記載された被保険者)
  • 被保険自動車を運転中の者またはその父母、配偶者もしくは子
  • 被保険者の父母、配偶者または子
  • 被保険者の業務に従事中の使用人
  • 被保険者の使用者の業務に従事中の他の使用人

同僚間災害で問題になるのは、最後の免責事由です。

この免責事由が設けられた理由は、業務上の事故による被害は、労災保険などの他の保険で補償されることが多いため、自動車保険の対象外とする方が明確であると考えられるからです。しかし、労災保険だけでは、被害者の損害をすべて補償できるわけではありません。その場合、被害者は加害者個人や会社に対して損害賠償を請求することができます。

任意保険が使えない場合の対応方法

任意保険が使えない場合でも、被害者は以下のような方法で損害のてん補を受けることができます。

  • 労災保険の給付を受ける
    • 業務上の災害として労災保険の給付を受けることができますが、労災保険だけでは被害者の損害の全てをてん補することはできません。労災保険は、医療費、休業補償、障害補償、遺族補償などの基本的な給付を行いますが、慰謝料や後遺障害の程度に応じた補償などは行いません。
  • 人身傷害補償保険を使う
    • 契約車両に搭乗中の人が死傷した場合に保険金を支払う特約ですが、保険金は保険会社の基準により計算されるため、通常は裁判をした場合に認められる賠償額よりも低い額になってしまいます。また、この特約は加害者の任意保険に加入している場合に限ります。
  • 加害者個人に請求する
    • 加害者個人に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができますが、同僚という関係から強く言えないこともあり、損害額が多額になるときは資力の問題もあります。加害者が自己破産した場合は、請求権が無効になる可能性もあります。
  • 会社に使用者責任を問う
    • 会社は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。この責任を負います。この責任を使用者責任といいます。使用者責任にもとづく損害賠償請求をすることで、被害者は会社に対して慰謝料や後遺障害の補償などを求めることができます。
    • 会社に対して損害賠償をするという精神的負担や会社の無資力というリスクを負わずにすむ方法として1つは、会社が業務災害総合保険に加入している場合です。業務災害総合保険とは、会社が加入することで、使用者責任にもとづく損害賠償請求に対して保険金を支払うことのできる保険です。

おわりに

同僚間災害は、労災保険や自賠責保険、任意保険などの複数の保険が関係する複雑な事故です。任意保険が使えない場合でも、被害者は他の方法で損害のてん補を受けることができますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。被害者は、自分の損害を正しく評価し、適切な保険や賠償を受けるために、専門家の助言を求めることが大切です。

また企業側(経営者)も社会保険を理解し、且つ民間の保険会社にも相談、支払いができるように準備をしておくことも大切です

以上、交通事故の同僚間災害についての記事でした。この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。次回も、保険のプロとして、保険の知識や情報をお伝えしていきたいと思います。それでは、またお会いしましょう。

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