厚生労働省による労災認定件数の増加と精神障害の実態

2023年6月30日、厚生労働省は最新の統計を発表し、仕事が原因でうつ病や他の精神障害を発症し、2022年度に労災認定を受けた件数が過去最多となったことを明らかにしました。この記事では、厚生労働省の発表内容を詳しく紹介し、労災認定件数の増加や精神障害の実態について探っていきます。

精神障害、労災認定過去最多

厚生労働省によると、2022年度の労災認定を受けた精神障害の件数は710件であり、前年度より81件増加し、過去最多を4年連続で更新しました。自殺件数は62件で前年度より12件減少し、自殺未遂は5件で前年度と変わらない数となりました。労災請求件数も過去最多となり、2683件の精神障害が認定されました。

パワハラ最多147件

認定された労災の原因別では、パワハラが147件と最も多く、改善の進まない職場環境の実態が再び浮き彫りになりました。次に多かったのは「悲惨な事故や災害の体験、目撃」の89件、そして「仕事内容や仕事量の変化を生じさせる出来事があった」の78件でした。さらに、「同僚などによる暴行、いじめ、嫌がらせ」や「セクハラ」も目立ちました。

業種別に見ると、社会保険・社会福祉・介護が85件で最も多く、医療が79件、道路貨物運送が37件と続きました。過重労働による脳・心臓疾患に関しては、労災認定件数が22件増加し、合計194件となりました。そのうち死亡(過労死)は前年度より3件少ない54件でした。道路貨物運送業種においては50件の労災認定が最も多かったです。

認定されたケースの時間外労働については、発症前の2〜6カ月間の平均で、「60時間以上80時間未満」が最も多かったと報告されています。労働時間の過重に関する基準では、厚生労働省は2021年9月に見直しを行い、不規則勤務など労働時間以外の負荷も考慮することを明確化しました。これにより、労災認定の範囲が広がったと分析されています。

厚生労働省の担当者は、「精神障害が労災として認められることが広く知られるようになった結果ではないか」と話しています。労災認定の増加は、労働環境の問題やストレス要因への対策の必要性を浮き彫りにしています。

労働者のメンタルヘルスを保護するための重要な対策

1. 労働環境の改善

パワハラやいじめなどの職場での問題行動を根絶し、働く環境を安全で健全なものにすることが重要です。上司や組織全体がメンタルヘルスに配慮し、働きやすい環境を整えることが求められます。

2. プレッシャーやストレスの軽減

働く人々が適切な休息とリラックスを取れるような制度や取り組みを導入することが必要です。定期的な休暇やストレス解消のためのプログラムを提供し、労働者のメンタルウェルビーイングをサポートすることが重要です。

3. コミュニケーションとサポートの強化

労働者と上司や同僚とのコミュニケーションを促進し、相互の理解とサポートを深めることが重要です。労働者が悩みやストレスを相談できる安心感を持つことが、早期の問題解決や支援への導線を生み出します。

4. 教育とトレーニングの提供

メンタルヘルスに関する教育やトレーニングを労働者に提供することで、ストレス管理や心の健康を促進する能力を向上させることができます。労働者が自己管理やメンタルケアの方法を学ぶことで、より健康な労働環境を築くことができます。外部のカウンセラーやサポートプログラムを依頼することも検討しましょう。

5. 上層部のリーダーシップと取り組み

組織のトップリーダーは、メンタルヘルスに対する意識を持ち、それを組織文化に浸透させる役割を果たすべきです。メンタルヘルスに対する取り組みを具体的に示し、従業員のサポートやリソースの提供を行うことが重要です。

まとめ

労働者のメンタルヘルスを保護するためには、労働環境の改善、プレッシャーやストレスの軽減、コミュニケーションとサポートの強化、教育とトレーニングの提供、上層部のリーダーシップと取り組みが必要です。労災認定件数の増加は、メンタルヘルスへの関心と対策の重要性を示しています。組織全体でメンタルヘルスを優先し、健康で生産性の高い労働環境を作り上げることが求められます。

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